昨今、保育の実践において「対話」の重要性が多く説かれています。教育の場においても「主体的・対話的で深い学び」が求められています。

保育園の配置基準。スタッフ同士で話をする時間の確保が難しい環境。できない理由を探すのではなく『どうしたらできるか』を考え、保育を振り返る時間、チームごとに話をする時間を確保して、日々対話を掲げてコミュニケーションを積み重ねてきました。

しかしながら、対話というのはそれ自体きわめてむずかしいものであること。そもそも対話ってなんだろうと、試行錯誤を繰り返してきたテーマでした。

5年目の新年度のはじまり。スタッフ同士の関係性が熟す中で、新しいスタッフも加わり、このタイミングならと改めて「対話とは何か」を考え、体験する研修を5月に行いました。

研修前の導入でおこなわれたアイスブレイク。懐かしのフルーツバスケットゲームで大盛り上がり。緊張もほどよくとけて研修に臨みました。

ひとつめはワールドカフェ形式で、テーブル4名ごとに対話し、テーブルメンバーを入れ替え、対話を繰り返し行っていきます。テーマ(問い)は、研修の2週間前に起こった実際の保育場面での出来事をテーマに、「子どもの思い」「保育者の思い」「保護者の思い」「叱ること」に分かれて、それぞれの立場になって想像し、思いを巡らせること。

もうひとつは、ロールプレイング。保育現場でよく起きるであろう場面を想定し、その中で自分の価値観、思いとは異なる役割を演じるもの。今回は園での給食の場面を想定し「①残さず全部食べて欲しい保育者」「②好きなものだけ食べたらよいと思う保育者」「③苦手なものも一口は食べて欲しい保育者」の役になりきり、大人のサークルタイム(対話の場)を行いました。

研修後、スタッフの感想は――。

―自分の持っていなかった意見もたくさん聞けた。
―自分の疑問から話がいろいろ広がって、みんなの考えを聞くことができた。
―自分が思いつかないことも知ることができる機会。今回は実際の事例でやれたのがよかった。
―自分で完結せずに、人の意見を聞くのは大事だと感じた。感じ方や捉え方が人によって違う。
―人の意見聞くと自分にはない考えを知ることができ、また考えさせられる。
―じっくり他者のまなざしを考える機会になった。
―それぞれの立場で思いを巡らせる機会も必要だなと思った。自分だったらどうかなと考えた。

 

「わかりあう」でなく「わかりあえなさ」を知ることで、対話の再出発点になりえるか。
対話が保育者自身、そして保育の中でどう影響をもたらすか。
子どもに関わる大人の在り方、SORA保育者の学びの探求は続きます。

今年度から保育者だけでなく、SORAに関わるスタッフ全員を対象に年間を通して研修を行います。常勤、非常勤も関係なく学び合いの機会を。