森と自然の保育園SORAから、ご家族へのメッセージです。園のご家族に送ったメッセージには、今起こっていることや園での葛藤を綴りました。

実績もない保育園に子どもと通うことを決意してくださったご家族。地域へ開くというコンセプトに共感し、入園してくださったご家族。様々な背景がある中で、入園してくださったすべてのご家族に感謝を申し上げます。

2年目のはじまり。当初は全くの未知のウイルスであるコロナ感染症の対応に迫られました。ご家族の皆さんのご協力で、一斉休園からの屋外保育活動・森のようちえんを開催し、感染者をだすことなく、徐々に通常保育に戻すことができました。長く続くであろうコロナ禍もあり、保育園に併設したテラスの転換も図りました。また、子どもの多様な経験を保証する“地域へ開く”ことの前に、園として取り組む課題にぶつかりました。保育の基盤です。

子どもが葛藤を経験することと、見守ることだけではない関わりができているのか。子どもに寄り添いすぎて、保育者と子どもとの関係性がつくれているのか。専門性を持つ保育者として、どういうまなざしを持って、子どもの姿を捉えているのか。ご家族からも信頼しているからこそと、保育についてのご指摘や助言を受けました。様々な問いや課題にぶつかり、その根底にある私たち保育者自身の受けてきた教育や家庭での育ちまで、思考を巡らせ続けた日々。保育に対する課題やコロナ禍もあり、地域を巻き込んだ取り組みまで至らなかった2年間でした。しかし、今向き合っている課題こそ、保育園として最重要なことなのではと考えています。

まだまだ過程にある園において、至らない点も多かったかと思います。また、保育園として、そして保育者自身が、子どもたちやご家族の皆さんのから、学びや気づきを得ていることを実感しています。森と自然の保育園SORAの黎明期に関わってくださったお一人おひとりに感謝を申し上げます。

最後に。閉鎖的な環境になりえる保育園には、多様な価値観をもたらすであろう、地域へ開くことの必要性を開園前から説いてきました。しかし、SORAにはユニークで、それこそ多様なご家族の存在があったこと。

保護者の方の勤務先でもある養護学校の生徒さんが、園児のために手作り玩具と手紙を綴ってくださいました。大喜びの子どもたち。コロナ禍もあり直接お会いすることはできませんでしたが、動画を通して喜びを分かち合いました。フォトグラファーの保護者の方が、SORAご家族の撮影会を企画。日常過ごしている地域の公園で家族写真を撮影してくださったことでさらに深まったご家族同士のつながり。そして、保護者の方が移住した鴨川里山にて、棚田をお借りし、保護者とスタッフの棚田プロジェクトが、これからはじまろうとしています。

面白いご家族との出会いで保育園が彩りはじめています。


在園児のご家族の皆さま、3年目では保育の基盤をしっかりつくり、保育者と保護者と保育園のボーダーをさらに薄くしたいと考えています。
卒園児のご家族の皆さま、SORAは保育園という枠組みを超えて、地域にいつもある居場所として存在したいと考えています。ふとココロが疲れたときや、何気ない日常の続きとしてお立ち寄りください。

ご卒園おめでとうございます。

2021年3月31日