色水遊びをしていた時のこと。ひとりの友だちが色水の入ったボトルを見て「あか!」と言葉を発すると、Iくんもその姿を見て「あか!」と嬉しそうに言います。そして、何かを手にしては「あか!」を繰り返し言って楽しんでいます。

「あか」という言葉を覚えたIくんは、その言葉を発することを楽しんでいる様子。その嬉しさに共感しながら、「これは青だね」「これが赤だね」と保育者と対話を重ねていると、数日後には“赤いボール” “赤いブロック” “赤い洋服”を指さして「あか!」と教えてくれるようになりました。

友だちの言葉を聞いて「あか」という言葉があることを知ったIくん。そして、覚えた言葉を様々な場面で使いながら、その時の大人の反応をよく見て言葉の意味するものを見つけていく。ひとつひとつのやり取りを学びにつなげていくその姿に、Iくんの自ら育とうとする力、学びとる力を感じています。

何かを教えようとしなくても、周囲の反応を見たり感じたりすることで子どもたちは自然と学んでいきます。Iくんの中の「あか」という言葉が「赤」という意味を持つ言葉に変わった瞬間。そういった場面に立ち会うことができることは、日々子どもと過ごす中で大きな喜びのひとつでもあります。